202回 令和5(2023)年6月10日(土)掲載




アマサギ




 

 アマサギと言う名のサギがいる。日本では主に夏になると飛来する夏鳥で、私のいつもの探鳥地である県内低地帯では、4月になると姿を見せることが多い。今年はそれが少し遅れた。「アマサギが来ないね」と農家の人とも話していたら、5月20日になって、数羽の群れが、田の中を動く農作業車の後を追っているのに出会い、その中の1羽の、婚姻色が目についた。

 野鳥の羽色が、季節によって冬羽と夏羽に変化することを知っている人は多いと思うが、「婚姻色」という言葉は、知らない人もいるかもしれない。

 鳥類学に関するある辞典には、「繁殖期に体色に現れる性徴で、通常の体色より鮮やかな色になる」とある。その目立つ1羽の目(虹彩)は鮮やかに赤く、眼先は赤紫色からくちばし先端の黄色に続き、脚も赤みを帯びていた。

 アマサギと言う名を「亜麻色のサギ」と考える方がいるかもしれないが、鳥名に関するある本に、「アマサギという鳥名は鎌倉時代にすでにあったが、亜麻色という色名は江戸時代以前にはなかった。だから『亜麻色のサギ』ではなく、『飴色のサギ』が『アマサギ』になまったのではないかと思う」とある。
 飴」から、「甘いサギ」を連想し、では「(から)いサギ」もいるかと考えてみたら、「カラシラサギ」がすぐ思いうかんだ。だが残念。この「カラ」は「唐」であって、「辛」ではない。

 言葉遊びに流れてしまったが、他のサギ類にも婚姻色はある。そんな知識があると、毎年のサギ類との出会いが、より楽しくなる。

 


 







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